会津・漆の芸術祭2012 〜地の記憶 未来へ〜

会津・漆の芸術祭2012展示作品パノラマビュー
会津・漆の芸術祭2011展示作品パノラマビュー・ズームビュー

ソフト・サイト制作

福島県立博物館

CONCEPTコンセプト

会津・漆の芸術祭2012〜地の記憶・未来へ〜 趣旨

会津の文化資源である漆をテーマに、主催者である福島県立博物館の調査研究成果を活用し、会津の歴史の深さ、文化の豊かさそしてまちの魅力を伝えることを目的にスタートした会津・漆の芸術祭は、今年で3回目を迎えます。
第1回は暗中模索ではありましたが地域の力を借りて好評のうちに会期を終えることができました。なにより地域と博物館の絆がしっかり結ばれたことが代えがたい財産となりました。
昨年の第2回は東日本大震災のため開催そのものが危ぶまれましたが、「東北へのエール」をサブテーマに掲げ多くの復興支援活動と連携することができました。
そして迎える第3回。いよいよその成果が明らかとなります。

今年のサブテーマは「地の記憶 未来へ」。
さまざまな解釈が可能なテーマでしょう。ここに私たちは会津・福島、そして東北・日本が培った生きる力と可能性を掘り下げる機会に漆の芸術祭がなり、未来への可能性を示すことができれば、との願いを込めました。
この大きなテーマに切り込む素材が「漆」です。
繰り返し思い出してみましょう。人は自然から多くのものを得て命長らえてきました。時には自然を傷つけて。だからこそ、先人は自然と共に生きていることを決して忘れませんでした。
人の手により傷を受け、そこからにじみ出る漆の液は、祈りや祝い、時には悼みの場の特別な器物となって人間に大切に使われてきました。
「漆」に込められた先人の心を顧み、再び我々の心を復興しましょう。
「漆」に学ぶ。この事が今ほど重い時はありません。
会津・漆の芸術祭2012は、「漆」に導かれながら、地の記憶を抱き、ここからの未来を目指します。

会津・漆の芸術祭2012〜地の記憶・未来へ〜 コンセプト

■地について

昨年春、地が震えました。私たちはこの大地がまさに生きているということを身体で思い知ることとなりました。
また、大地の震えが呼び招いたかのように海はかつての渚にまで戻ってきました。海辺の多くの地は、縄文人の末裔たる我々が営々と作り上げてきた土地だったことが残酷なかたちで明らかとなりました。
さらに、大地の与り知らぬ原子力発電所が崩壊し、福島の地には見えない境界が引かれました。その境界の周辺では生き物を育んでいる土が至る所で剥ぎ取られています。
今、私たちは大地・土・故郷の意味を考えねばなりません。自然から大地を取り戻すのではなく、自然とともにそれぞれの地で暮らす生き方を築き上げていきたいと思います。

■記憶について

津波の行き着いた先にいくつもの神社が残りました。その配置こそが先人の津波の記憶でした。
津波と原子力発電所事故で分断・縮小したコミュニティにおいて真っ先に復活が望まれたものはその地に伝わる芸能でした。打撃を受け途方に暮れる人々に各地に伝わる記憶が力を与えているのです。
復興にかかわるいくつかのプロジェクトには、泥土に漬かった写真を洗浄・復元するもの、言葉や暮らしを記録・保存するものが見受けられます。記憶を守り伝えることの重さを私たちは直観しているのでしょう。
今、思い起こすべき記憶は私たちの足下にあるのかもしれません。

■そして未来へ

私たちは生き続けます。未来へ向けて。
この地に立ち、記憶を携えて。
原子力発電所の惨事は私たちが加担して引き起こされました。そして、その負の遺産は未来に残されます。それに打ち勝つだけの力を私たちは未来に伝えなければなりません。
過去を振り返り、記憶を伝える、その上に、未来への贈り物を生み出しましょう。
東北、福島は大きく傷つきました。
今、再生への歩みが始まります。